実家が空き家になったら?
相続した空き家の手続き・税金・活用

相続した実家(一戸建て住宅)のイメージ

「親が亡くなり、誰も住まなくなった実家をどうすればいいかわからない」「東京に住んでいて、つくばの実家の管理に通えない」――相続をきっかけに実家が空き家になり、悩んでいる方は少なくありません。

総務省の調査(令和5年住宅・土地統計調査)によると、茨城県の空き家は約19万7千戸、空き家率は14.1%で、全国平均の13.8%を上回っています。つくば市は人口が増えている街ですが、筑波山麓や旧町村部などの住宅地では、親世代が亡くなった後に空き家になるケースが増えています。

この記事では、相続した実家(空き家)について、相続登記から放置するリスク、売却するときの税金の特例、活用の方法まで、つくば市の相続専門司法書士がわかりやすく解説します。

まずは相続登記で名義を整理

令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となることがあります。

空き家を売る場合も、貸す場合も、解体する場合も、名義が亡くなった親のままでは手続きを進められません。まずは遺産分割協議で実家を引き継ぐ人を決め、相続登記で名義を整理することが出発点です。

兄弟姉妹で「共有」にするのは避ける

実家を兄弟姉妹で共有にすると、売却や賃貸のたびに共有者全員の同意が必要になります。さらに共有者の誰かが亡くなると相続人が増え、話し合いがますます難しくなります。遺産分割協議の段階で、実家を引き継ぐ人を一人に決めておくことをおすすめします。

空き家を放置するリスク

建物の傷みと近隣トラブル

人が住まなくなった家は、換気や掃除がされないため傷みが早く進みます。雑草や庭木の繁茂、屋根や外壁の破損、不法投棄、動物のすみつきなどで、近隣に迷惑をかけるおそれがあります。

「管理不全空家」に指定されると固定資産税が上がることも

令和5年12月に空家等対策特別措置法が改正され、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家は「管理不全空家」として、市町村から指導・勧告を受けることがあるようになりました。

勧告を受けると、住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする特例(住宅用地特例)が受けられなくなり、土地の固定資産税が大幅に上がることがあります。

空き家を売るときの「3,000万円特別控除」

相続した実家を売って利益が出ると、譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。ただし、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)があります。

主な要件

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること

・亡くなった方が、亡くなる直前まで一人で住んでいたこと

・相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

・売却代金が1億円以下であること

・売却の前後で、耐震改修または解体をすること

この特例は、令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象です。相続から時間がたつと使えなくなるため、売却を考えている場合は早めに準備を始めましょう。細かい要件があるため、税理士や税務署への確認をおすすめします。

売らずに「活用」する方法

空き家バンクを利用する

茨城県内の多くの市町村では、空き家を売りたい・貸したい人と、利用したい人をつなぐ「空き家バンク」を設けています。つくば市やその周辺の市町村に実家がある場合は、まず市役所の空き家の担当窓口に相談してみましょう。

※つくば市の空き家バンクについてはこちら→「つくば市空家バンク制度」

※土浦市の空き家バンクについてはこちら→「土浦市空家バンク制度」

※茨城県の空き家バンクについてはこちら→「Re:BARAKI 空き家バンク」 

賃貸に出す・解体して土地を活用する

つくばエクスプレス沿線や研究学園地区の近くなど、需要のある場所であれば、賃貸住宅として貸し出す方法もあります。建物が古く傷みが激しい場合は、解体して土地として売却したり、駐車場として活用したりする方法も考えられます。

どうしても手放したいときは

売ることも貸すことも難しい場合は、建物を解体したうえで、相続土地国庫帰属制度を利用して土地を国に引き取ってもらう方法もあります。ただし、建物がある土地は対象外で、審査手数料や負担金もかかります。また、実家だけでなくすべての財産を放棄したい場合は、相続開始を知ってから3か月以内に相続放棄を検討する必要があります。

まとめ

実家が空き家になったら、まずは遺産分割協議と相続登記で名義を整理することが出発点です。放置すると、建物の傷みや近隣トラブルだけでなく、固定資産税が上がるおそれもあります。

売却を考えている場合は、3,000万円特別控除の期限に注意しましょう。売らずに活用する方法として、空き家バンクや賃貸、解体後の土地活用もあります。

「実家の名義変更をしたい」「空き家を売るか残すか迷っている」といったお悩みは、早めにご相談いただくことで選択肢を整理しやすくなります。

司法書士越智法務事務所では、つくば市を中心に茨城県内の空き家・実家の相続登記や相続手続きのご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

2026年11月1日

執筆:司法書士越智研介

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